サウナの温かい空気が上昇する原理
物質は熱せられると体積が膨張します。空気も例外ではなく、温められると体積が膨張し、密度が小さくなります。体積が大きくなっても重さが変わらないので、密度が小さくなる訳です。
温められて密度が小さくなった空気は、周囲の温度の低い空気よりも軽くなり、上へ押し上げられるのです。
具体的には、以下の2つのステップで説明できます。
- 暖められた空気は体積が膨張し、密度が小さくなります。
- 密度が小さくなった空気は、周囲の冷たい空気よりも軽くなり、上へ押し上げられます。
これが、温かい空気は上に行くという理由です。
サウナで対流が起こるプロセス
温められた空気が上に行き、次に冷めて下降する事によって、サウナ内でグルグルと対流が起きます。
- サウナストーブで熱せられた空気は、高温になります。
- 高温になった空気は、密度が小さくなり上昇します。
- 上昇した空気は、壁や天井にぶつかり、方向を変えます。
- 壁や天井で冷やされた空気は、密度が高くなり、床へ下降します。
- 床に降りた空気は、ストーブの熱で再び温められ、1へ戻ります。
これを対流と言います。
対流は温度を均一化しようとする動きと言えますが、サウナの中では必ず均一化される訳ではありません。
対流と熱伝導の違い
対流と熱伝導は、どちらも熱を伝える方法ですが、その仕組みと性質には違いがあります。
熱伝導は、物質が直接触れ合うことで熱を伝える方法です。例えば、スプーンを熱湯に入れると、スプーンの柄が熱くなります。これは、スプーンと熱湯が直接触れ合うことで、熱がスプーンに伝わっていくためです。
一方、対流は、温められた液体や気体が移動することで熱を伝える方法です。
例えば、鍋でお湯を沸かすと、お湯は底から温められますが、まず鍋底から液体への熱伝導が起こります。
温められた湯が上へ上がり、冷たいお湯が下へ降りてきます。これが、鍋全体のお湯の温度が上昇する仕組みです。これは対流です。
対流がうまく起こらないガス釜が一つ穴のお風呂のお湯をかき混ぜることをイメージするとわかりやすいかも知れません。
液体同士は直接触れ合っていますので、液体の分子間の熱伝導も起きているようですが、対流の影響の方が大きいようです。固体のように分子が動きにくい物体と異なり、気体や液体は自由に動く物質は対流が主体となり温度が上がります。
サウナは上の方のベンチの周りの空気の温度が熱くなりやすいです。ベンチ板の形状や組み方、吸排気の量などで、空気の対流が活発であれば、上と下のベンチの温度差が小さくなると考えられます。
もう一つの熱を伝える方法 輻射
サウナで感じる熱さは、輻射という熱伝達の仕組みも大きく関係しています。
輻射は、物体から電磁波(赤外線など)が放射され、それが別の物体にあたる事で熱を伝える方法です。
太陽の光が地球を温めるのも、輻射によるものです。夏に日陰から日向に出た時に急に熱を感じるのは輻射の影響です。
サウナ室では、サウナストーブや熱せられた壁から熱輻射が行われ、それが私たちの体に当たります。輻射は空気を介さず、直接体に熱を伝えるため、じんわりと体の中から温まるような感覚になります。
サウナで熱さを感じる主な理由
サウナにおいては空気から人体への熱伝導が起こりますが、空気の熱伝導率(熱を伝える性質)が低いため、100度以下くらいならやけどをせずに済みます。
ロウリュ・アウフグース・熱波と呼ばれる行為を行うと、石に触れた水に石からの熱伝導が起こり、一気に水蒸気化します。水蒸気が体に付着すると、水蒸気の熱伝導率が空気よりも高いため、とても熱く感じます。
加えて輻射により人体に熱が伝わりますが、体の中から温まるような感覚になります。体表よりも深部体温が上がるようなイメージです。
サウナに入っている時間で異なってくると思いますが、8分程度の入浴では以下のような傾向を感じます。
輻射が弱く室温が高いドライなサウナですと、体の表面が温まり水風呂に入りやすくなります。
輻射が強いと体の内から温まるので汗は出ますが、体表はそれほど温まっておらず、水風呂が冷たく感じます。
8分よりもかなり長く入浴すると感じ方も変わってくるかも知れません。
サウナ毎にストーブの種類、壁材の種類、温度や湿度、ベンチ板の組み方や段数などの特性が異なるので、好みのサウナが人によって異なってくると思います。
サウナの温度計の指している温度は温度計のある位置の温度です。
サウナの温度に関してもう少し詳しく知りたい方はこちらをご参照下さい。
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